切絵 広重・国芳・豊国_東海道五十三對 06_國芳_藤澤      

小栗小次郎ハ鎌倉権現堂にて強盗横山の家にとまり
毒酒ニてすてに殺さるへきを 照手が貞操にて其場を忍びいで鬼かげといふ
荒馬に乗つて藤沢寺へ駈(かけ)入 急難遁(のか)れける されども其毒気にあたり
終にかぎやみとなつて熊野本宮にいたる 照手 百千の苦をしのびて車につきそひ
これを引行(ゆく) 熊野権現の利生によつて本復なし
かたき横山をうちとり照手をともなひ本國へかへり家をおこし 美名をかヾやかす