切絵 広重・国芳・豊国_東海道五十三對 27_豊國_袋井 桜か池の由来

ある夜法然上人の庵へ 女性来りて我ハ艮嶽(こんがく)の源皇阿闍梨(げんくわうあじゃり)
より龍善三會の暁(さとり)をまたんため 桜か池ニ入宮して今ハ龍身となれり 然るニ忽身の鱗の合ニ
数万の虫わきて 日に三度 夜に二度身を苦(くる)むる事堪がたし あハれ桜か池ニ来て 此苦(くるし)
ミをたすけてたへと涙を落して頼ける 上人夢覚(さめ)て桜か池ニ至り給へハ
水中より化龍(けりゅう)顕れ 上人と答和す 上人龍ニ向給ひて称名念仏し給へハ
ふしぎや忽身の鱗落てなめらかになり うれしけに永くみろくの世をまたんとて 又水中にいりしとなり